大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「うん。だから泰子の言いつけを守っていい子にしててね」

「はい!」


元気な返事とは裏腹に寂しそうな貫一と離れるのは忍びがたいが、敏正さんが帰ってくる。

父に聞けないのなら、彼に聞こうと考えていた。


「泰子、負担かけてごめん。お父さまのことは私がなんとかするから、貫一をお願いね」

「うん。お姉さまが来てくれてうれしかった」

「それではまた近いうちに来るわ」


私は元子さんたちにふたりをお願いして、電車に飛び乗り家路を急いだ。



敏正さんが帰宅したのは十九時半。
無事に明日の落成式の準備が済んだと、報告があった。

春江さんには食事の準備を頼んだあと帰ってもらった。
敏正さんと父の話がしたかったからだ。


「このイカの酢の物は、春江の味だな」
「よくおわかりになりますね」
「郁子はもう少し甘い。実は甘いほうが好みなんだ」


敏正さんは小声でおかしそうに付け足す。


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