大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
ただ、〝私との結婚をだしに〟と父が話していたと元子さんから聞いたので、それがとても引っかかっていて、妙な汗をかく。


「女中が?」
「敏正さんにだまされたと憤っていたと」


私は彼の目をまっすぐに見つめて伝えた。
敏正さんもまた、目をそらそうとはしなかった。


「そう、か」


それはどういう反応なの? 

『馬鹿なことを』と笑い飛ばしてほしかったのに、どこかあきらめたような彼の様子に、鼓動が速まっていく。


「父上がそうおっしゃるのであれば、そうなのだろう」
「えっ……」


肯定の返事に、絶句する。


「だましたって、なにをです? 女中が、私との結婚やあの五千圓をだしにしたと父が口走っていたと。どういう意味なんですか?」


すがるように尋ねたが、彼は唇を噛みしめ黙り込む。


「敏正さん?」

「父上とは話をしたのか?」

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