大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
政略結婚を言いだされたときはひどく仰天したが、優しくて誠実な敏正さんにいつの間にか恋をしていた。
そんな彼に一生添い遂げると決めたのに、最愛の人に裏切られたの?
父に妓楼に売られそうになり、旦那さまに裏切られたら、もう誰も信じられない。
「だましたって、なに?」
心臓が早鐘を打つ。
言いわけひとつしない敏正さんに絶望しながら、その晩は一睡もせず、ただただ呆然と暗い空を見上げていた。
翌朝。外がざわつき、敏正さんが迎えの自動車に乗るのが見えた。
おそらく、式典のために丸の内に向かうのだろう。
一橋さんと、もうひとりの男性と一緒のようだが顔は見えない。
あれは誰?
「郁子さま」
廊下から春江さんの声がして、「はい」と返事をした。
「開けてもよろしいですか?」
「ごめんなさい。ひとりにしてください」
「いえ、開けます」
こんな強引な彼女は初めてだ。
そんな彼に一生添い遂げると決めたのに、最愛の人に裏切られたの?
父に妓楼に売られそうになり、旦那さまに裏切られたら、もう誰も信じられない。
「だましたって、なに?」
心臓が早鐘を打つ。
言いわけひとつしない敏正さんに絶望しながら、その晩は一睡もせず、ただただ呆然と暗い空を見上げていた。
翌朝。外がざわつき、敏正さんが迎えの自動車に乗るのが見えた。
おそらく、式典のために丸の内に向かうのだろう。
一橋さんと、もうひとりの男性と一緒のようだが顔は見えない。
あれは誰?
「郁子さま」
廊下から春江さんの声がして、「はい」と返事をした。
「開けてもよろしいですか?」
「ごめんなさい。ひとりにしてください」
「いえ、開けます」
こんな強引な彼女は初めてだ。