大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
式典の前に敏正さんに会いたかったが、到着するのが九時ギリギリになりそうだ。

お父さまはどうしたのだろう。
昨晩は家に帰ったのだろうか。

はやる気持ちを懸命に抑えて、電車に揺られながら敏正さんの顔を思い浮かべていた。


夫婦なら、隠さず教えてほしかった。
しかし、仕事の機密事項なら話せないのかもしれない。

とはいえ、三谷商店に関する話だ。
私は蚊帳の外という立場でもないのに。


「あっ……」


まさか。

いつだったか、松尾さんたちの会話を思い出してしまい、心臓がバクバクと大きな音を立てだした。

外国の得意先を開拓するのは大変だから三谷商店が持っているルートを使う。
つながっていさえすれば、取引量を増加させるのは難しくない。

という内容だったはず。


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