大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
そして、乗っ取りの計画が明るみに出ないように、私との政略結婚まで企てて、幸せな夫婦を完璧に演じてみせたのだ。

会社が丸ごと手に入るなら、五千圓なんて大した額ではない。


「ひどい」


たしかに敏正さんが骨を折ってくれなければ、三谷商店は丸の内ビルヂング建設のとん挫だけでなく、倒産していた可能性もある。

でも、それなら教えてほしかった。

三谷商店はもう自力では再興できない。
津田紡績が今後舵取りをすると、はっきり言ってほしかった。


私への愛をほのめかせる必要なんてなかった。

政略結婚なんだから当然だと主張すればよかったはずだ。

期待させるなんて残酷だ。


どうして今さら……。
もうあなたを愛してしまったのに。

父が職を追われたら、三谷家はどうなる? 
借金はなくなったかもしれないけれど、新たに借金しなければ暮らしていけない。
泰子や貫一は? 


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