大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「この裏切者! コイツは私の娘を盾にして、会社を乗っ取った卑劣な輩だ」

「落ち着いてください」


一橋さんが父をなだめるも逆効果だ。
父は渾身の力で、押さえつける人たちを振りほどこうと暴れている。


「津田敏正はどうした? うまいことを言って恩を着せておいて、このざまだ。三谷商店を返せ! 三谷商店の株は、私がかなり買い占めた。お前たちに経営権などない!」


株を買い占めたって、そのための資金はどうしたの? 

敏正さんの援助がなければ、泰子たちも学校に通えないほど火の車なのに。

混乱して息を呑む。

飛び出していこうと思ったそのとき、人をかき分けて演壇に上がったのは敏正さんだった。


「津田! お前は一生許さん!」


息巻く父を、数人がかりで押さえている。
一方敏正さんはひどく落ち着いた様子で口を開いた。


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