大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「株の買い占めは耳に入っています。たしかに今朝、三谷茂さまが筆頭株主になられました」

「認めたな! こんな落成式は茶番だ! この会社もビルヂングも私のものだ!」


父は血走った目で敏正さんをにらみつけている。


「その買い占めのための金はどうされましたか?」

「なっ……。そんなことをお前に教える必要などない」


私が不審に思っていた疑問を、敏正さんが父にぶつけた。

しかし父の答えはしどろもどろで、どう考えてもごまかしているようにしか見えない。

まさか、また借金を重ねたの?

そんな……。
私を吉原に売り飛ばしただけでは懲りなかったの?


「私は多額の融資をしておりますので、お聞きする権利があるかと」


敏正さんが畳みかけると、父はチラリと会場の片隅に視線を送る。
その方向にいた男に見覚えがあり、息が止まった。


「あの人……。ビルの建設にかかわっていた人だ」


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