大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
法外な建設費用を吹っかけて、それが明るみに出たら行方をくらました、あの。

それに気づいた私が一歩足を踏み出すのと同時に、男も身をひるがえして出ていこうとする。


「その人を捕まえて!」


またあの人にだまされているのではないかと感じた私は大声を出した。

しかし、男はあっという間に出口の扉まで到達してしまった。


「捕まえて、お願い!」


男が扉に手をかけた瞬間、もう一度叫ぶ。

男は慌てた様子で扉を開けたが、扉の向こうに屈強な男性がずらりと待ち構えていたので、驚いた。

それだけではない。
今まで客として椅子に座っていた人たちも立ち上がり、男を取り囲み捕らえるので目を瞠る。


「な、なに?」

「たしかに今朝は父上が筆頭株主でした。ですが、つい三十分ほど前に、半数以上の株が津田郁子のものとなり筆頭株主は彼女に移りました」


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