大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「仕事についてはまるでわかりません。ただ、敏正さんを信じればいいということだけは確信しています」


お母さまと対面したとき、『私たち女は旦那さまを信じて待てばいい』と諭された。
まさにこういう心境なのだと感じる。


「そう……。それじゃあ、俺が最善だと思う方法を話してもいい?」
「はい」


彼はどさっとあぐらをかき、膝に私をのせる。

息遣いが聞こえるほどの近い距離にはいつまで経っても慣れなくて鼓動が速まってしまうけど、彼が優しく髪を撫でてくれるのが心地いい。


「一ノ瀬さんを社長に据えて、三谷商事を発展させてもらう。あの人の手腕は父も絶賛しているほどだから間違いない。すでに使えそうな社員を津田紡績から出向させてある。その者たちを中心に、まずは輸出の拡大を図る」

「はい」


それがあのガウンや江戸切子などの取引なのだろう。


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