大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
感情を吐露すると、息継ぎも許されないような激しい口づけが降ってきた。

夢中になって舌を絡めていると、トントントンと軽快に階段を上がってくる足音が聞こえてハッとする。

それなのに敏正さんは私の首筋に舌を這わせ始めた。


「は、春江さんが……」
「声は我慢しないと聞こえるぞ」
「そんな……んっ」


意地悪な笑みを浮かべた彼は、私の耳朶を甘噛みする。


「敏正さま、郁子さま。膳の用意が整いました」
「郁子、返事して」


耳元でささやかれ、目を白黒させながら口を開く。


「ありがとうございます。今、行きます」


懸命に平静を装って言うと、春江さんは一階に下りていった。


「行きたくないな。このまま郁子を食いたい」
「ちょっ……。お料理が冷めます」


本当は私もこのまま溶けてしまいたいくらいだった。
けれど、さすがに春江さんが待っているのにできない。


「残念だ」


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