大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
ひとしきり笑ったあと真顔に戻ったたみさんは、再び口を開いた。
「おふたりがくださった希望を忘れず、これからも生きていきます。人生、楽しんだもの勝ちですよね」
「おぉ、その通りだ。また味噌を買いに来るよ。郁子と仲良くしてやってくれ」
「こちらこそ。奥さま。こっそり余計に盛っておきましたから、是非ごひいきに。あまりさぼっていると叱られるので失礼します」
たみさんは指先まできちんと伸ばして手を体の前で合わせ、流れるような所作で腰を折る。
その様子からは遊女として培われた品を感じたけれど、あの頃の沈んだ表情とは違う。
今の彼女は輝いていた。
待たせておいたタクシーに乗り込むと、敏正さんが話しだした。