大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「まあ、いろいろな人に会う機会が増えて気は休まらなくなった。でも、家に帰れば郁子が癒してくれるから、それまでの我慢だ」

「私でできることはなんなりと。でも、早速大活躍されていると、一橋さんがおっしゃっていましたよ」


私が漏らすと、彼は目を大きくする。


「孝義さんには、叱られてばかりなのに?」
「そうなんですの?」


私の前ではいつも褒めているのに、直接本人を褒めるのは照れくさいのかしら。

ふたりは専務と秘書という関係にはなったが、敏正さんが幼少のころからよく知った仲なので、仕事を離れれば気心が知れていて打ち解けている。


「一ノ瀬さんが異動して空席になった副社長に就任しないかと、父が孝義さんに打診したそうなんだけど……」

「それは適任ですよ、きっと」


ずっと裏方として敏正さんを支えてくれていた彼だけど、すこぶる頭の回転が速くできる人。

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