大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
これまでも役員就任の話はあったそうだが、敏正さんを育てたいと断っていたとか。


「それが、また断ったって」
「どうして?」


副社長なんてなりたくてもなれないのに、断るなんて信じられない。


「俺に、さっさと副社長まで上り詰めろと言うんだ。そうしたら、役員に就任して支えるからって。あの人には頭が上がらない」


お母さまもとても凛々しくて優しい人だけど、その弟の一橋さんも素敵な人だ。

そうした人に囲まれて育ってきたから、敏正さんは温かいのかもしれない。


「それは頑張らないといけませんね」
「あぁ。だから郁子にもっと甘えようと思う」
「ええっ?」
「疲れたら甘えたくなるんだ。いいだろう?」


思いがけず子供のような発言をする彼に、白い歯がこぼれる。

でも、私の存在で心穏やかになってくれるなら、なんでもする。


「甘えられたら、私のほうが癒されます」
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