大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
自由恋愛などと言われるようになった世の中だけど、華族の世界ではまだまだ〝家〟が重視されている。

ほとんどの人が、親が決めた方との結婚を選ばざるを得ない。


「そう……」


彼は箸を止めてなにかを考えているようだった。


「とりあえず、当面の生活ができるように孝義さんが金を置いてきた」

「ありがとうございます」


私が深く頭を下げると「いいから。食べなさい」と笑われる。


「ただ、残りの金をお父上に一括でお支払いするにはためらいがあってね。やはり、ビルヂング建築をそそのかした男にきな臭い噂があるんだ」

「父はだまされたんですね」


尋ねると、彼は控えめにうなずいた。


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