大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
泰子や貫一の将来を思えば胸は痛むが、これ以上甘えられない。


「いや。父に試されていると話しただろう?」

「そうお聞きしました」

「三谷商店はやりようによっては十分成功の見込みがある」


キリリとした表情で語る彼は、スーッと大きく息を吸い込んで「郁子」と私の名を口にした。


「はい」
「俺と結婚しよう」


一瞬頭が真っ白になり、言葉を失う。

今、なんとおっしゃったの?


敏正さんを呆然と見つめたまま、何度も瞬きを繰りかえす。


「俺の妻の実家となれば、おそらく幹部たちも了承するだろう。三谷商店は傾いてはいるが、幸い三谷家は子爵の称号をお持ちだ。結婚相手としても申し分ない」


結婚? 敏正さんと私が?


「ですが」


ようやく絞り出した言葉の続きが出てこない。


「政略結婚ということだ」
「政略、結婚……」
「郁子は嫌か?」


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