大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
それを聞き、仕事というものの厳しさを痛いくらいに感じた。その通りだからだ。

だまされて借金を重ねた挙げ句、それにすら気づかない。
この先の見通しも明るいとはとても言えない。

価値がないと判断されるのも納得だ。

父のような爵位を持つだけの素人が、安易に手を広げていいものではないと思い知らされた。


「副社長の一ノ瀬さんが、奥さまの縁があると話してくれたんだが、やはりいい顔はされなくてね。無論、三谷商店を立て直す自信はあるし、一ノ瀬さんからも手を貸すと力強い言葉をもらっている」


立て直す自信があると言いきれる彼がまぶしい。

けれども、これ以上負担をかけるわけにはいかない。


「敏正さん、ご尽力くださりありがとうございます。三谷商店はもう畳んでもらえるよう父を説得します。五千圓は私が働いて、何年かかってでもお返しします」


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