大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「利点か……。戦後恐慌で津田紡績の輸出額が停滞している今、新しい事業に挑戦していかなければこの先の発展はない。今は三谷商店に価値がなくとも、価値ある会社に育てれば我が社も必ず潤う」


私は春江さんに聞いた『時には手段選ばす目的を達成し』という言葉を思い出していた。

これは、私の、いや三谷家のための縁談なの? 
それとも、敏正さんの職業人としての自負心を満たすためのもの?


自信満々に言い放った彼は、ふと表情を緩める。


「それに、女衒の手を払ったときのお前の目をどこかで見たと思ったが、下衆な男に触れられそうになったときの母の目と同じだ。肝の据わり方もね」


お母さまがどうして関係あるの?

私が首をひねると彼は続ける。


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