大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「無論、妻とするからには大切にするつもりだ」


彼は私をまっすぐに見つめて、きっぱりと言う。


「でも、結婚だなんて……」


提案されてすぐに、わかりましたと了承できるような問題ではない。


『妻とするからには大切にする』という言葉はうれしいけれど、まさか結婚と三谷家の再興を天秤にかける羽目になるとは思わなかった。

ううん。今頃遊郭で見知らぬ男に体を許していたはずなのに、天下の津田紡績の跡取りとの縁談なんて、ありがたいじゃない。


私の気持ちは激しく揺れる。


「郁子の気持ちが整うまで待ってやりたい。でも、孝義さんに調べてもらったところ、三谷商店の次の支払期限が目前に迫っている。それを津田家が肩代わりするのは可能だが、おそらくむしり取られて終わりだ。少しでも早く不正を指摘し、手を打ったほうがいい」


なにもかも敏正さんの言う通りだ。

どうしたらいい? 
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