大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
私はどの道を選べばいいの?

私はしばし考えてから口を開く。


「……承知、しました」
「郁子、いいのか?」


政略結婚を言いだしたのは敏正さんなのに、彼のほうが目を丸くしている。


「それは私の台詞です。三谷商店の立て直しのために私と結婚だなんて……敏正さんは後悔されませんか?」


私が問うと、彼は一瞬ハッとした表情を見せたものの、すぐに笑顔を作る。


「郁子と結婚しなくても、いずれは結婚という話が持ち上がるだろう。少し時期が早まっただけだ。郁子とならうまくやっていけると思う」


まだ出会って十日あまり。

しかし、女学校の友人の中には結婚が決まってから夫となるお相手と顔を合わせたという者もいたので、おかしくはない。

それに、敏正さんは優しいし、なにより私の命の恩人だ。
精いっぱいお仕えしよう。


「ふつつか者ですが、どうかよろしくお願いします」
「うん。よろしく」


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