大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「浮かない顔をされてどうしたんですか? 心配いりませんよ。社長は寛容な方で、ご自分たち夫婦がすこぶる愛しあっておられるので、敏正さんが望まれる相手を拒否なさることはないかと」

「愛しあって……」


それではご両親は自由恋愛で結ばれたのかしら。


「はい。弟の口から言うのも恥ずかしいのですが、社長は姉を本当に大切にしてくださって。敏正さんが本邸を出てここに移られたのも、ふたりの人生を楽しんでほしいという気持ちからなんです。敏正さんはそんなご夫婦のもとで育てられましたから、きっと郁子さんを大切になさると思いますよ」

「ありがとうございます」


私は引きつった笑顔を作った。

そうは言っても、敏正さんは私を妻に所望したのは恋心からではない。


彼ははっきり政略結婚だと口にした。
自分の手腕を社長や会社の人たちに知らしめたいがため、三谷商店に関わりたいとも聞こえた。

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