大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
いくら愛情あふれる家庭に育ったからといって、ご両親と同じように仲睦まじく暮らせる保証はない。


けれど、妓楼で働かなくても済み、実家も守ってもらえるのだから、それ以上を望むのは贅沢だ。

そう考えてもなにか引っかかるのは、心のどこかで自由恋愛を夢見ていたからかもしれない。


父の連れてきた男性と結婚するのだと覚悟を決めて生きてきたはずなのに、一度くらいは熱い想いで心を焦がしてみたかったのが本音だった。

しかし、敏正さんの手を取ると決めたのだから、もうくよくよしない。
疲れて帰ってくる彼が安らげる家庭を作ろう。

そう気持ちを切り替えた。


「それで、三谷商店の件も早く動きたく、今晩津田家のご実家に顔を出して一緒にお食事をという提案なのですが」

「今晩? えっ、そんな。どうしましょう」


それではあと何時間かしかない。
私はソワソワし始めた。


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