五年越しの、君にキス。

ほとんど強引に私たちのお見合いを成立させた伊祥は、そのあとすぐに、私との関係を婚約段階まで持ち込んだ。

籍を入れるのは半年後。

結婚式と披露宴は伊祥側の親族たちのスケジュールとの兼ね合いで、一年後を目処に調整。

それまでは、伊祥の婚約者として彼と一緒に暮らすこと。

婚約にあたってそんな条件を提示された私は、柳屋茶園での仕事を続けながら、伊祥の家で同棲生活を始めることになった。

『元々、大学を卒業したら一緒に住もうって約束してたよね?五年前に梨良がそれをすっぽかしたんだから、約束はちゃんと守ってもらわないと。籍を入れる日は、なんか意味がある日にしようよ。半年後の、俺らが付き合った記念日なんてどう?』

正式に婚約が決まったあと、伊祥はにこにこしながら私にそう言った。

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