五年越しの、君にキス。
冬木さんの作る料理は、食材の産地や品質にこだわって、品目数や栄養面まできちんと考えられてあるのだ。
たとえば朝食ひとつとっても、私の家ではパンとヨーグルト、それからコーヒーで簡単に済ませていたのが、冬木さんはホテルの朝食みたいなものを作って伊祥に提供する。
定番は、トーストにオムレツかスクランブルエッグ。どこだかの有名レストランから取り寄せているフレンチドレッシングをかけたサラダ。それから、懇意にしている外商さんに定期的に取り寄せてもらっている南米直輸入の豆で挽いたコーヒー。
冬木さんがすらすらとその話を始めたときは、カルチャーショックで若干頭がくらくらした。
だけど、そんな食生活を何年も送ってきた伊祥に、急にパンとコーヒーだけなんていう貧相な朝食は提供できない。
だから、冬木さんにオムレツとスクランブルエッグの味付けや焼き加減を教わって、朝食クオリティーを下げないように頑張っている。