ワンルーム・ビターキス
一応考えては見るけど、残念ながら自分がここにいる理由は思い出せない。





夜中に暑くて起きちゃって、それからどうしたんだっけ。


そこからの記憶にモヤがかかったように何も思い出せない。





「今何時?」


「午後3時」

「え、嘘!私何時間寝たの…っ」





ガバッと起き上がろうとしたけど頭に鈍い痛みが走った。




「おいバカ、まだ熱あんだから大人しく寝てろ」


「熱?私が?」


「そう。ちょっと待ってろ医者呼んでくるから」




翠は私の髪をわしゃわしゃかき乱して部屋を出た。




医者を呼ぶって言った…?


なにそれ。家に医者がいるの?タワーマンションだから?


病院って自分で行くものじゃないの?




やっぱり翠はセレブなんだ…



何者なんだろう。つくづく謎が多いよ。





「おはよう、調子はどう?緋和ちゃん」



「…え?」





部屋に入ってきた人に違和感を覚えたのは一瞬の出来事だった。




この声、知ってる。



聞き間違えるわけないよ。


高くて女の人らしい綺麗な声。

何回も私の頭の中で再生されたあの声。





「私の事わかる?会うのは初めてだけど」





女の人はベッドのそばまで歩いてきて私に1枚の名刺を差し出した。





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