ワンルーム・ビターキス
2個上の兄貴、楠木碧(くすのき あおい)。


4個上の姉貴、楠木緑。





2人は絵に書いたようになんでも出来るタイプだった。


俺に勝てるところなんか、ただのひとつもなかったんだ。





『すごいわね〜楠木院長の息子さん。またピアノのコンクールで全国優勝したんですって』



『留学のお誘いも全部蹴ってお父様と同じ医大に行くんですって。次期院長は決まりね』


『娘の緑ちゃんも看護じゃなくてやっぱり医大に進んだらしいわ。お父さんの役に立ちたいって』





いつだって、褒められるのは上の二人だった。



あの二人の弟だから。

そう言われるのがとても嫌だった。





成長するにつれて、俺の中の劣等感は家族への嫌悪に変わっていった。






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