ワンルーム・ビターキス
「父さん。俺医者にはならない。教育学部に行く。家も出る」




「…そうか」






父さんの口から出た言葉はそれだけだった。




それだけ?とも思ったけど、まあそうか。


この人が欲しいのは優秀なDNA。


自分の後継ぎ。



俺が欲しいなんて1ミリたりとも思っていないんだ。





あのふたりが医者になるなら跡継ぎに困ることもない。

病院の将来も安泰。





「俺みたいなひねくれた人間じゃなくて碧が2人生まれてくれば良かったな」





我ながらサイテーな発言だった。


でも父さんは何も言い返さず、ただいつも通り難しい本に目を向けていた。





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