ワンルーム・ビターキス
お父さんたちに迷惑をかけたくない。


せっかく出世が決まって海外で頑張り始めたばかりのところ。


水を指すなんて、あってはならない。




何不自由なく暮らさせてくれて、多すぎるくらいのお金を毎月振り込んでくれてる。

血が繋がってなくても、本当の娘のように接してくれている。



それだけで、十分幸せだ。




「…じゃ、そろそろ今夜の宿探さなきゃ行けないので。」




シートベルトに手をかけて金具を外す。


車内の時計が指す時刻は午後11:30。

今からでも見つかるかな…




「…あれ、外れない」




金具を外したはずのシートベルトが緩まないことに気づき、私は金具に視線を移した。




「…なに、してるんですか」



そこをしっかりと握って金具が抜けるのを妨げているのはもちろん楠木さんで。


私を見つめるジト目は馬鹿を見ているかのようだった。





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