キミだけのヒーロー
「サユリはさぁ……」


スペシャルトロピカルフルーツプリンパフェを満足げに口にしながら、マユは話し出した。


「今でも日下部っちのこと好きやと思うで」


日下部っち……て。

いったい、いつの間にそんなあだ名になったんだ?


「え? マジで?」


ちょっとうれしくなって、思わず声がうわずる。


「あ、ごめん。今適当に言った。日下部っち、すぐ本気にすんねんもん。単純~」


マユはパフェ用の長いスプーンでオレを指して、ガハハと言う感じで笑った。

オイオイ……かんべんしてよー。

なんかオレ完全にからかわれてる気がする。

くそぉ。


「サユリって中学の頃、告られても誰とも付き合わへんかったから、てっきり男の子に興味無いんかなぁってあたしは思っててん」


今度はウルトラチョコレートサンデーのチーズケーキ乗せを食べているナツミが口を開いた。

そうか、ナツミはサユリと同じN中だから、当時から友達だったんだな。


「あたしも思ってた。男の子に興味ないんかなって。でも、うちの卒アル見せたとたん、あの子固まってたよなぁ」


マユがポツリと呟く。

卒業アルバム?

たしか、サユリがオレを紹介して欲しいと言ってきたのは卒業アルバムを見たのがきっかけだったんだよな。


二人は卒業アルバムを見た時のことを話して聞かせてくれた。
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