ドキドキするだけの恋なんて

「野本君 あず美に 何か言ってくる?」

翔真は 車を運転しながら さり気なく聞く。


「まだ たまに 電話があるの。私 翔真と付き合ってるって はっきり 言ったのに…」


「この間 俺も あず美と 上手くいってますかって 聞かれたんだ。」

「もう 関係ないのに!」


私は 翔真から 目を逸らし 窓の外を見た。



「俺は 気にしてないから。大丈夫だよ。」

「エッ?」


翔真の言葉に 驚いて 私は 翔真を見る。


「俺達 上手くいってるだろ?だから あず美も 気にしなくていいよ。」


「私 翔真に 誤解されるの 嫌だから。だから もう 電話しないでって 何度も 言っているのに…」


「野本君も 離れてみて やっと あず美の良さに 気付いたのかな。」


翔真の言葉には 余裕があって。

私は つい 笑顔になってしまう。


「でも 私… 翔真と 付き合ってから 変わったから。」


「んっ?そうなの?」


「翔真と一緒にいると 自然な私で いられるから。」

「へぇ。俺と一緒。」


「そうなの⁈」


驚いた私の声は 裏返っていて。


翔真は 私を見て クスッ笑った。








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