子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「柊也さん!!」

こんなふうに、彼に迷惑をかけるわけにはいかない。今夜は、ただでさえこうして心配をかけてしまったんだし。もしかした、仕事も放り投げて駆けつけてくれたのかもしれない。

最近、ずっと大変そうだったんだから、お願いだから、家でゆっくりして欲しい。


「俺がそばにいることは、そんなに迷惑か?」

「え?」

何度も帰るように促す私を、適当に流していた柊也さんが、不意に低い声でこぼした。どこか、傷付いたような表情に、私も口をつぐんだ。

「俺、紬の夫で、お腹の子の父親なんだけど。二人の心配をすることが、そんなに迷惑か?」

「……迷惑なんがじゃない。そんなこと、思うわけないよ。けど……」

なんでこのタイミングで、そういう主張をするのよ……
こんなふうに言われたら、離れなきゃいけないのに、離れたくなくなってしまうじゃないの。

「紬、人の命より大事なものなんてない。仕事なんて、後からどうとでもできる。今は……俺に二人の心配をさせろよ」

「……うん」

それ以上、何も言えなかった。




その晩、特に言葉は交わしていないのに、微かに聞こえるお互いの息遣いに、なぜか安心していた。思いの外、ぐっすりと眠れた。







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