子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
ー数ヶ月後ー


「おぎゃあ、おぎゃあ……」

「あっ、雅也が起きちゃったみたい」

赤ん坊が夜泣きをするのなんて、あたりまえのことで、仕方がないってわかっている。子持ちの部下からも、「昨日は全然寝られなくて……」なんて話も聞いていたから、覚悟もしてきた。
もちろん、紬に代わって夜通しあやすつもりもある。愛しい我が子のこと。そんなのあたりまえだ。


だがしかし、ひとつ気に食わないことがある。
なんで雅也は今まさしく紬に襲いかかろうとしたタイミングで泣くんだ?
それも、一度や二度のことじゃない。もう何回もタイミングよく泣き出してくれる。

あいつ、完全にわざとじゃないか?


紬は、ベッドから顔を真っ赤にして泣き続ける怪獣を抱き上げると、すっかり慣れた手つきで授乳を始めた。それを横から遠慮なく覗き込む。


見えそうで見えない……

「ちっ」

思わず舌打ちをすると、「なに?」とでも言うように紬が顔を上げた。

「俺のなのに」

「は?」

不思議そうな顔をして、首を傾げた紬。くそっ、可愛いじゃねぇか。



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