子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
片付けも終えて、次は調理だ。
春巻きはギリギリで揚げるとして、スープと青椒肉絲を仕上げていく。

食べてくれる人の笑顔を思い浮かべれば、思わず鼻歌も飛び出すというもの。

「紬、楽しそうだな」

不意に声をかけられて、ピクリと肩を揺らした。
いけない。完全に自分の世界に入っていたみたい。

「美味そうなにおいだ」

私が止める間もなく、仕上がっていた青椒肉絲をつまみ食いする橘さん。
それを咎めるかどうか迷っているうちに、満面の笑みを向けられてしまった。

「美味い。さすが紬だな」

ずるい。イケメンの笑みはずるすぎると思う。
咎めるかどうかなんて吹っ飛んで、よしっ!!と、心の内でガッツポーズを取ってしまった。

それに……前回の初めての訪問だけで、私の料理をここまで信頼してくれたことが素直に嬉しかった。



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