子作り契約結婚なのに、エリート社長から夜ごと愛し尽くされました
「お口に合ったようで、よかったです」

「それはなんだ?」

私の手元の鍋を指さす橘さん。

「卵スープですよ」

興味津々な様子で近付いてくるから、少し体をよけて正面を譲る。
目を閉じて鼻をひくつかせると、じーっと私を見つめてきた。

「な、なんですか?」

「味見係、やってやるよ」

早くよこせと言わんがばかりに、用意してあった小皿を渡される。
〝いや、自分で……〟なんて言えるような雰囲気ではない。仮にも相手は雇い主なんだから、まあいいかと、少量のスープをよそって手渡した。


橘さんがそれを口にする様子を、じっと見守る。


「うん。思った通り、美味い」

「よかった。あと少しで出来上がるので」

大丈夫とは思っていたけれど、他の人から合格をもらえるとホッとする。

「楽しみにしてる」

そのまま前回のように、手をひらひらさせて去っていった。






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