プラチナー1st-

変なの。紗子が今日和久田に付き合ってここに来ているのは、浜嶋の前で言うと脅されたからだし、全然前向きに来ているわけじゃない。それなのにそんな風に解釈できるんだ。

「本気で嫌だったら、定時ダッシュで逃げたって構わなかったわけだろ? ちゃんと俺が行くまで居てくれたってのが、もう第一歩だって」

そうなのかな。和久田くんも相当定時で紗子の席に来ていたけど。

なんだかんだ和久田くんの言葉に色々文句はつくけれど、今この席に座っているということは紛れもない事実で。そう思うと和久田くんがそう解釈するのもありなのかなあと思う。まあ、紗子の想いも実ることはないけれど、和久田くんの恋も実ることもないとは思う。

「だから、改めて乾杯」

もうお代わりのジョッキを手に、和久田が乾杯を求めてきた。和久田の恋が進み始めているとはとても思えないけれど、叶わぬ想いを抱える切なさは分かるので、紗子もグラスを合わせた。

< 25 / 48 >

この作品をシェア

pagetop