死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
椅子にされている友人は時折首をもむ仕草をして「なぁんか調子がおかしいなぁ」と首をかしげている。


可哀そうに。


厚彦が頭に乗っかっているなんて、想像もしていないだろう。


「いるよ」


厚彦の代わりに梓が答えた。


「じゃあ探してきてよ」


玲子の言葉にまた梓はむせ込んだ。


厚彦が移動するためには梓が移動しなければならない。


それを忘れてもらっては困るのだ。


「あのねぇ玲子。そんな無茶なこと言わないでよ。どうしちゃったの?」


「人助けってやっぱりいいなぁと思ったの! ユキオさんが泣いて喜んでる姿、梓も見たでしょう?」


「それはそうだけど……」


ユキオさんが成仏してくれた時は、確かに梓も感動した。


でも、だからといってわざわざ困っている幽霊を探そうだなんて思わない。
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