死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
☆☆☆

「2度も鍵を借りたから、さすがに怪しまれてたね」


倉庫内に入ってから玲子が呟いた。


職員室で鍵を借りた時の話だ。


「仕方ないよ」


梓はそう言って肩をすくめた。


本当はスペアキーでも作っておけば簡単だけど、あいにく学校にそんな設備はない。


鍵を校外へ持ち出したりしたら、それこそ大目玉だ。


ここは疑いを目を向けられようとも、素直にかりに行った方が賢い選択だった。


「リュウヤさん、少しでもいいから話を聞かせてください。あなたは美術部員だったんですよね?」


厚彦がそう聞くが、やはりリュウヤさんは返事をしてくれないみたいだ。


「仕方ない。梓、こっちへ」


厚彦に手まねきされ、梓はなんの疑いもなく隣りに立った。


「どうしたの?」


そう尋ねた次の瞬間、厚彦が梓の腕を掴んでいた。


咄嗟のことでなんの抵抗もできなかった。


「なにか原因なのか、見てきてくれ」


「へ?」


厚彦の言葉に間抜けな声を出した時だった。


指先に冷気が触れた。


(あ、まさか)


そう思ったのが、最後、強制的にリュウヤさんの追体験が始まっていた……。
< 220 / 338 >

この作品をシェア

pagetop