死んだ彼が幽霊を成仏させてみせます!?
その光景が目に浮かんでくるようだった。


追体験をしたからわかる。


リュウヤさんはこの窓が風で揺れたとき、また割れるかもしれないと思ったんだ。


「まさか、リュウヤさんの心残りって、この窓?」


梓はそっと窓に近づき、手を触れた。


今は風も止んで、少しも揺れていない。


「窓?」


玲子が首を傾げている。


1人だけおいてけぼりにされて、少しむくれているようだ。


「そうだよ、窓がこのままになっているから気になってるんだよ!」


梓は思わず大きな声を上げていた。


あんな事故が起こったのにこの窓は今でも封鎖されていない。


代わりに教室が倉庫になったから、それでいいと放置されているのだ。


でもそれじゃあ、窓はまたいつ割れるかわからない。


万が一生徒がここにいるとき、窓が割れたら?


5年前の悲劇が繰り返されたら?


そう懸念しているのだ。


「玲子、この窓にベニヤ板を打ち付けよう!」


「え、う、うん。わかった!」


理解しているのかいないのか、玲子は大きく頷き、道具を準備するために倉庫から飛び出して行ったのだった。
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