アオハルの続きは、大人のキスから
久遠から聞いた話では、この模擬結婚式が終わってから再度プロポーズをする予定だったらしい。
しかし、先日プロポーズを再度受けて小鈴が了承したので、さすがに今日はサプライズはないだろう。
なんて思っていた小鈴は、甘かったかもしれない。
如月の登場に目を丸くさせていると、今度は紋付き袴姿の久遠が控え室に入ってきた。
やはり久遠。紋付き袴姿がとても似合っている。
なにやら手に紙を持っているが、なんだろうか。小鈴が久遠に視線を向けると、彼はその場で立ちつくして固まっている。
小鈴が見蕩れている間も、久遠は動かず、さすがに心配になった。
「久遠さん?」
小鈴が声をかけても微動だせずに、ただジッと小鈴を見続けている。
ゆっくりと彼の唇が動いたのでホッとする小鈴に、久遠は熱に浮かされたように呟く。
「……綺麗だ、小鈴」
あまりに真剣な表情で言うものだから、照れてしまう。
小鈴は視線を落としながらも、「ありがとうございます」とお礼を言う。なんだか、とても照れくさい。
本当の挙式ではないのに、二人してモジモジしてしまう。
そんな二人を見ていた如月が嬉しそうにポンと手を叩いた。
「やっぱり、私の目に狂いはなかったようね」
「え?」
「小鈴さん。私、何度も貴女に言ったでしょう? 私の甥っ子と会ってみないって」
「甥っ子……?」
「ええ。久遠は私の甥なのよ。でも、本当に嬉しいわ。小鈴さんが私と親戚になるんですもの」
「あ」
そういえば何度も如月には小鈴と親戚になりたい。甥っ子と一緒になってもらいたい。そんなことを言われ続けていた。
だが、まさかその甥っ子というのが久遠だったなんて予想もしていなかった。
「旧財閥家である如月の当主が俺たちの結婚を認めているんだ。親戚連中にとやかく言われることはない。まぁ、もっとも言われたとしても俺が捻り潰すけどな」
「如月さまが、ベリーヒルズビレッジの所有者で旧財閥家のご当主だったんですか?」
目を見開いて驚く小鈴に、如月は柔らかい笑みを浮かべて頷いた。