アオハルの続きは、大人のキスから
「ある種、職業病かもしれないな」
「え?」
「ホテルにいると、どうしても周りのことが気になってしまう。困っているお客様はいないか、なにか問題になっていることはないか見てしまうんだよなぁ。だから、今日は小鈴を別のホテルに連れ出したのに。結局は、ベリーコンチネンタルと同じことをしているんだから」
「すごいと思いました。久遠さんって、昔から周りのことをよく見ていましたものね」
「そうか?」
「そうですよ。バイト先でも、いつの間にかリーダーみたいになっていて。バイトの子たちの手助けをしたり……。すごいなぁって思っていたんです。今も、やっぱりすごい」
目を輝かせる小鈴だったが、ハッとして口を閉ざす。ガラス越しに久遠の表情が見えたからだ。
小鈴を見つめる彼の目は熱を帯びている。視線で口説かれている、そんな気にさせられてしまう。ガラス越しの久遠から目が離せない。
動けずにいた小鈴の手に、久遠の手が重なる。え、と驚いて隣に座る久遠に視線を移すと、彼は愛おしいという感情を隠すことなく小鈴を見ていた。
心臓が痛いほど、ドキドキして息苦しい。手から伝わる熱は、彼からの想いのように感じて嬉しくなる。
「俺は……、小鈴の気持ちをいつでも察したいと思っている。だけど、十年前にはできなかった」
「久遠、さん」
「今でも後悔している。あのとき、もっと小鈴のことをわかってあげられていたら……未来は変わっていたのかもって」
キュッと小鈴の手を握り、久遠は強く真摯な眼差しを向けてきた。
「だから、今度は絶対に見逃しはしない」
「久遠、さん……?」
彼はなにかに勘づいている。そんな気がした。それがわかったが、口にはできない。