アオハルの続きは、大人のキスから
「俊作の小舅ぶり、なんとかならないものかしらねぇ。まぁ、そんなことはいいわ。ちょうど小舅がいないなら好都合。今からここに行ってほしいのよ」
そう言って椿に手渡されたのは、小さなメモ書き。走り書きされた文字は、恐らく椿の筆跡だ。
「ここって……。ベリーヒルズビルに入っているホテル、だよね? なんかめちゃくちゃ高級なんでしょ? 入ったことないなぁ」
ベリーヒルズビレッジは複合タウンになっており、呉服店山野井がテナントとして入っているショッピングモールを始め、総合病院やレジデンス、そしてラグジュアリーホテルやオフィスなどが入っている複合施設ビルが存在していた。
複合施設ビルにはあまり用事がないので立ち入ったことはないし、入ることになんとなく気後れしてしまっている。
渡されたメモを見つめていると、椿は盛大にため息をつく。
「うん、そう。実はさぁ……ここのGMが山野井とタッグを組んで仕事をしたいって言っているらしいのよ。それで、うちの父さんって話し下手でしょ? 仕事の交渉は椿に頼みたいとか言い出して」
「ああ……交渉なら椿ちゃんの方がうまいかも?」
椿が言うように、叔父は話し下手だ。確かに仕事においての交渉となったら、椿の方がいいだろう。
ふむふむと頷いていると、急に椿が両手を握ってきたため驚いて目を大きく見開いた。
「そこで、小鈴の出番なのよ」
「私?」
「そうよ、小鈴。ここに今から行ってきて」
「なにを言っているの? 仕事の交渉なら、椿ちゃんの方がいいに決まっているよ。それに、叔父さんからもお願いされたんでしょ?」
その後、なぜか言いよどむ椿だったが、気を取り直した様子で腰に手を当てて胸を反らす。