アオハルの続きは、大人のキスから


「私はずっと好きだった男性がいるの。その人を忘れることは一生できない。だから、俊作さんとの結婚も無理です」

「……」

「俊作さんには何度もお断りしている……だけど、受け入れてくれない。もう一度、俊作さんとは話し合いの場を設けるつもりだけど……。それでもダメだったら、叔父さんの方から断ってください」

 必死にお願いをする小鈴を見て、叔父は息を吐き出す。そして立ち上がりながら、小鈴の方へと歩み寄って肩にポンと手を置いた。

「悪かったな、小鈴。お前を苦しめてしまったようだ」

「叔父さん」

「椿は自分で歩いて行ける女だ。でも、小鈴は私が守ってやらねばと思っていた。だからこそ、山野井を小鈴にあげようと思っていた。山野井を、着物を愛してくれるお前になら、と」

 ポンポンと小鈴の肩を叩き、叔父は申し訳なさそうに続ける。

「それに俊作はずっと小鈴を見守ってくれていた。ああいう男が傍にいれば、私たちがいなくなったあとも、小鈴は一人じゃない。安心できると思ったんだが……私が間違っていたな」

「叔父さん?」

「無理に押しつけるつもりはなかった。ただ、小鈴のこれからが心配だったからこそ、親代わりの私がレールを敷いておいてあげたかった。とはいえ、これは無理強いというやつだろう。申し訳なかった、小鈴」

 首を何度も横に振る小鈴を見て、叔父は優しくほほ笑んでくれた。


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