箱崎桃にはヒミツがある
「私でも惚れそうなくらいステージ上のあんたは格好いいわよ。
 だからイライラすんのよ~っ」

 もうちょっとオーディションでもグイグイ押して出なさいよ~っ、とまたキレられる。

「でも、みつぐんの場合はさ」
とそこにも此処にも貢はいないはずなのに、ちょっと小声になって来島は言ってきた。

「格好いいあんたが好きなんじゃなくて。
 格好いいあんたと普段のあんたのギャップにやられてんのよ、たぶん」

「来島さん……」
と呼びかけたあとで、桃が黙ると、来島は、

「なによ?」
と威圧的に訊いてくる。

「ありがとうございますっ、来島さんっ。
 すっごく嬉しいですっ」

「は? なにが?
 貞洋先生に好かれてそうなことが?」

「いえっ、来島さんに、惚れそうなくらいステージ格好いいとか言ってもらって、ほんと嬉しいですっ。
 感激ですっ」
と言うと、来島は沈黙した。

「……来島さん?」
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