極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
酔っ払っているというより、寝ぼけているのだろうか。
倒れないか心配で梨乃が脱ぎ捨てた服を拾い集め、後をついていく。
すぐにシャワーの音がして少しホッとする。
バスルームのドアの前で梨乃が出てくるのを待っていたら、身体にバスタオルを巻いたまま彼女が出てきてギョッとする。
浴場でそのまま寝なくて良かったが、頭はびちょびちょ。
「髪濡れたままじゃないか」
慌てて梨乃を捕まえて洗面所に置いてある椅子に座らせドライヤーで彼女の髪を乾かす。
「ちゃん乾かさないと風邪を引くだろ?」
俺の声に反応して彼女は「はい」と頷くが、本当に理解して返事をしているかは怪しい。
今も梨乃の目はほとんど閉じられたまま。
本当に子供みたいだ。
会社で見ている彼女とは全然違う。
綺麗な漆黒の長い髪。
まるでシルクのよう。
考えてみたら人の髪を乾かすなんて初めてで、この状況を楽しんでいる自分がいる。
十分ほどかけて髪を乾かすと、「終わったぞ」と声をかけるが、「うん」というだけで動く様子がない。
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