極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
優しく微笑む彼女に手を引かれ、目の前のソファに腰掛けた。
「実は私が住んでいたアパートに空き巣が入りまして、まだその空き巣が捕まっていないんです。そのまま住むのはちょっと怖くて。普通なら兄を頼るとこなんですが、今イギリスに行っていて、それで兄の親友の優さんがこのマンションに置いてくれて……」
「まあ、そんなことがあったの。大変だったわね」
単なる相槌ではなく、彼女は私の肩に手を置いて優しく労った。
「優さんには多大なご迷惑をおかけしてしまって本当に申し訳ないと思ってます。あの……そのうち新しい新居を見つけて出て行きますので」
ずっと居座る気がないことを伝えたら、思わぬことに反対された。
「そんなのダメよ。まだ空き巣が捕まっていないんだもの。ここにいなきゃ。亮太くんだって心配するわ。ねえ、優?」
優のお母さまがにっこり微笑んで私の背後に目を向ける。
その呼びかけに驚いて振り返ると、彼がいた。
「ああ。そうだな。許可出来ない」
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