極上御曹司に初めてを捧ぐ～今夜も君を手放せない～

「私も一度会ってお礼を言いたいとずっと思ってました。私たち兄妹のことを気にかけてくださってお惣菜を兄に持たせてくれて……。すごく美味しかったです。特にコーンクリームコロッケがお気に入りで……。私の中のお母さんの味が今では全部優さんのお母さんの味で……。ありがとうございました」
感謝の気持ちを伝えたいが、感情が先走って上手く言えない。
それに、当時のことを思い出したら、涙が込み上げてきて焦った。
「あっ、すみません。涙が出てきちゃって。あの……すぐに止まりますから」
涙が止めどなく頬を伝う。
「あらあら、喜んでもらえてよかったわ。なんだか初めて会った気がしないわね」
ハンカチを取り出して、私の涙を拭う優のお母さま。
とても優しく、愛らしい方で緊張が一気に解けた。
「ふふ。そうですね」
笑って相槌を打つ私を彼女はじっと見つめる。
「ねえ、もし差し支えなければ、優のところにいる理由を聞かせてもらってもいい？ちょっと座って話しましょうか？」