極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
あの時じいさんから電話がかかって来なければあのまま彼女を抱いていたかもしれない。
理性をなくしたのは初めてだ。
学生の時から女にはモテていて、自分から女性を口説くことがなかった。
誘われれば相手をする。
但し、恋人にはならない。
ひとりっ子だったから、気楽なひとりの時間が欲しかったんだと思う。
恋人が出来れば束縛される。
だが、束縛されると感じること自体相手に対して好きという感情がないわけで、自分以上に大事に思える相手がいなかった。
社会人になっても恋人にしたい女性には出会えなかった。
ずっと気ままな独身貴族でいると思っていたのだが、
梨乃と同居するようになって俺は変わった。
いや、梨乃と一緒に残業した夜から変化の兆しはあった。
あの夜から彼女のことが気になったし、同居させることに何の迷いもなかった。
それは……俺が梨乃に惹かれていたから。
もし、空き巣にあったのが梨乃じゃなかったら、俺は知人の家に預けていたかもしれない。
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