極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
本能的に彼女を自分のそばに置きたかったんだと思う。
一緒に住むようになってまだ数日しか経っていないが、単調だった生活が楽しくなった。
同じ物を食べて、同じテレビを観て、同じ空間にいて……そんなたいしたことはしてないのだが、ひとりでいる時よりもリラックスしている自分がいる。
普段会社で見ることはない彼女の姿を目にするのもとても新鮮で、スッピンで寝癖があってもすごく可愛いと思える。
梨乃は親友の大事な妹で、俺の部下。
今はその肩書きだけでは足りない。
もっと近い存在になりたいと願うのは、彼女のことを好きになったからかもしれない。
空き巣事件が解決すれば、やがて梨乃はこの家を出て行くだろう。
ずっとここにいて欲しい。
そう思うのは自分勝手だろうか。
じいさんたちに結婚話を否定はしたが、内心この話を本当にしたいとも思った。
今日会社で滝川が言った言葉が頭から離れない。
『藤原さん、会長に紹介しておいたから感謝しろよ。ああいういい子は囲い込まないと逃げられるぞ』
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