極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
もう断る元気もなくて、ずっとじっとしていた。
ひょっとして、課長はずっと私を襲おうとしていたのだろうか?
最近私にしか残業を頼まなかったし、オフィスにひとりになると変な足音も聞こえた。
その足音は課長のだったのかもしれない。
髪を乾かし終えた彼は、私を立たせて私の寝室に連れて行く。
「その格好じゃ風邪を引く。夕飯を作っておくから何か着ろよ」
私の頭をポンと叩いてこの場から離れようとする優の腕を咄嗟に掴んで言った。
「いや、行かないで」
「梨乃?」
驚いて私をじっと見つめる彼に自分の感情を吐露した。
「ひとりになるのが怖い。暗闇の中、課長に襲われて……怖かった」
「もっと早く駆けつけられなくて悪かった」
優は私を包み込むように抱きしめる。
その温もりにようやく助かったって実感が湧いてきて、涙が込み上げてきた。
「もう……ダメかと思った」
泣くじゃくりながら言う私の頭をそっと撫でで相槌を打つ。
< 179 / 243 >

この作品をシェア

pagetop