極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
実は課長がそばにいる時にパスワードを打ち込んでわざと彼に覚えさせた。
それで、課長が俺のパスワードを使って偽のデータにアクセスするのを待っていたのだ。
『そう。馬鹿な男だよ。朝井に権限与えて課長のメール履歴を調べてさせたら、課長はそのデータを専務に送っていた』
昨日の夜専務が俺を足止めしたのは、課長が仕事をしやすくするためだろう。
「なるほどね。後でその件を話そう。秘書室の朝井も呼んでおいてくれるか?」
俺がそう頼むと、滝川がずっと気になっていたのか梨乃のことを聞いてきた。
『ああ。藤原さんは大丈夫か?』
「昨日の夜は酷くショックを受けていたが、今は大丈夫だ。だが、今日は休ませようと思う」
『そうか。もし彼女が心配なら、今日はテレワークでもいいけど』
滝川が俺を気を遣ってきたが俺は断った。
「いや、今日は出社する。じゃあ、また後で」
梨乃が昨日の夜のような状態ならテレワークも考えただろうが、もうずっとそばについていなくても問題ないと思った。
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