極上御曹司に初めてを捧ぐ～今夜も君を手放せない～

「そんなこそこそしてる方が悪目立ちする。行くぞ」
梨乃の腕を掴んでエレベーターに乗る。
誰も乗って来ないとわかると彼女は壁にもたれかかり、胸に手を当ててハーッと息を吐いた。
「生きた心地がしません」
緊張しまくってるな。
だが、課長のことで不安は感じていないようでちょっと安心した。
明け方まで抱いていたせいだろうか。
上司と部下に戻るのがなんだか寂しくなって……。
「気にしすぎだ」
梨乃に顔を近づけてその唇を奪うと、彼女は目をパチクリさせた。
「ちょ……ここ会社ですよ。誰かに見つかったら……」
激しく動揺する彼女に向かってニヤリとする。
「上手く誤魔化すよ。別に見られてもいいが」
自分でもエレベーターでキスなんてバカなことをしてると思うが、彼女に触れたくて堪らない。
「昔、相当遊んでませんでした？」
じっとりと俺を見る彼女に曖昧に微笑んだ。
「想像に任せる。ほら、着いたぞ」
梨乃の背中をポンと押してエレベーターを降りると、隣のエレベーターから新人の栗田が降りて来て俺たちと目が合った。